【最終回】一歩踏み出すことで見えてくるもの|編集者ママのインターナショナル子育てin香港vol.6

カテゴリー:Column, 編集者ママのインターナショナル子育てin香港, 
2016.03.08

「編集者ママのインターナショナル子育てin香港」を担当する、蓮見紗穂です。夫の転職に伴い、2015年2月から一家で香港に住んでいます。

このコラムでは、香港で子育てする中で発見した日本との違いや驚いたことなど、皆さんが読んで「へ~! そうなんだ」「なるほど!」と思えるようなことを書いていきたいと思っています。

◆過去記事はこちら◆
vol.1「仕事好きなわたしがなぜ香港に?」
vol.2「日本と香港、子育てしやすいのは?」
vol.3「コミュニケーションで大事なことって?」
vol.4「子どもの英語教育、何から始める?」
vol.5「どうすれば英語が話せるようになる?」

 

食料品や生活用品は日系スーパーで購入

香港に暮らし始めてまず驚いたのが、生活にかかる費用の高さです。

家賃の異常な高さについては皆さんご存知かもしれませんが、食料品や生活用品も日本より割高です(円と香港ドルの関係もひとつの要因ですが)。

日系のスーパーで買い物をすると、食料品の値段は平均して日本の2倍近く、フルーツや野菜は4倍、5倍するものもあります。

日本では20円ほどで購入していたもやし。香港ではなんと23ドル(約330円)。ちっとも家計の味方じゃない!(笑)

日本では20円ほどで購入していたもやし。香港ではなんと23ドル(約330円)。ちっとも家計の味方じゃない!(笑)



 

日本のいちごが恋しいですが、1パックでこの値段!(約1150円)。もはや贈答品レベル。

日本のいちごが恋しいですが、1パックでこの値段!(約1150円)。もはや贈答品レベル。



産地にこだわらなければ、スーパーでも、街市と呼ばれるマーケットでも、もっと安い生鮮食品が手に入ります。

でも、日本人のお母さんは安全性を考慮し、高くても日本のものを購入する人が多いです。

日系スーパーは多くの日本製品を扱っているので、わたしも週に2、3回は通っています。

先日、娘が風邪で寝込み、何日も外に出られないことがありました。日系スーパーはひと駅ほど離れたところにあるので、具合の悪い娘を一緒に連れていくこともできません。

そのとき、心の中で叫びました。「ああ、ネットスーパーがあったらいいのに~!」と。やはり日本はサービスが細やかで、行き届いていますよね。

 

公共の交通機関は驚きの安さ

2階建てバスと赤いタクシー、トラムが行き交う大通り。

2階建てバスと赤いタクシー、トラムが行き交う大通り。



食料品や生活用品が高いのに比べて、交通機関は驚くほど安いです。MTR(地下鉄)は3駅乗っても5ドルちょっと(約80円)。

名物の2階建てバスはMTRよりも若干安く、10ドルもあればけっこうな範囲をカバーできます。

タクシーの初乗りも22ドル(約320円)と安いので、香港の人は気軽にタクシーに乗ります。道路を走っているタクシーの数も、日本よりかなり多い印象です。

古くてガタガタ揺れるのに、ものすごいスピードで突っ走るので、慣れるまではけっこう怖いです。

路面を走るトラムはさらに安く、乗り換えない限りどこまで行っても2.3ドル(約35円)。

街並みを眺めながら観光気分で移動できるのですが、駅と駅の間が短く、しかもスピードがゆっくり。時間に余裕があるときに利用するのがおすすめです。

 

風に吹かれながらのんびり移動できるトラム。ラッピング広告を眺めるのも楽しい。

風に吹かれながらのんびり移動できるトラム。ラッピング広告を眺めるのも楽しい。


暮らしにくい点

香港に来て辟易したのが、住まいの不具合が頻繁に起こること。

去年だけで、換気扇の故障、冷蔵庫の不具合、洗面所の排水溝の詰まり、給湯器の不具合などで、何度も業者の方に来てもらいました。

日本で暮らしているときは、業者の方に来てもらうのは年に1回あるかどうかだったので、この点においては住みにくいなぁと感じます。

あと、洗濯物を外に干せないというのも地味に辛いです。

工夫を凝らして外に干しているお宅もよく見かけますが、香港はどこも高層マンション。下に落ちてしまったときに危険です。

わが家はいつも室内に干していますが、気温が低めで湿度が高い時期は、除湿機をフル稼働させてもなかなか乾きません。

晴天の休日に、ベランダでシーツをバーンと干していた日々が懐かしいです。

洗濯物が気持ちよく乾くって幸せなことだったんだなぁと、こちらに住んでから気がつきました。

 

おわりに

今年2月、旧正月の花火。ちょうど1年前、香港に来たばかりのときにも見ましたが、そのときは気持ちに余裕がなかったなぁ。

今年2月、旧正月の花火。ちょうど1年前、香港に来たばかりのときにも見ましたが、そのときは気持ちに余裕がなかったなぁ。



香港に住み始めて、1年経ちました。

その間に、環境、使う言葉、つき合う人、時間の使い方、お金の使い方、仕事との関わり方、子どもとの関わり方……自分を取り巻くすべてがガラッと変わりました。

今までの人生を脱ぎ捨て、また1からデザインし直しているような感覚です。


人生は選択の連続だと言います。

この1年、自分自身にたくさんの問いを投げかけながら、そのひとつひとつをできるだけ丁寧に選択してきました。


仕事をしたいという思いと、子どもたちを自分の手で育てたいという思いの狭間で揺れ動きました。

どういう人と、どう付き合うのが自分にとって心地いいのか、試行錯誤しました。

子どもたちが育つ環境、学ぶ環境、将来について、夫婦で意見を戦わせました。

たくさん迷ったり、悩んだりしました。

でも、いくつかの選択肢を前にして思い悩む度に、自分が大切にしていること、大切にしている人、自分の中にある優先順位を改めて知ることができたように思います。


もちろん、心から納得して選んだものもあれば、モヤモヤとした気持ちを抱えたまま選んだものもあります。

でも、日本という慣れ親しんだ環境から抜け出し、まっさらな環境に身を置くことで、今までとはまた違った答えが出てくるのです。

自分の考えが、よりはっきりと、鮮やかに見えてくるのです。

これは、わたしにとって大きな収穫でした。


わたしにとってのきっかけは「海外に出る」という大変化でしたが、もしかしたら今いるところから一歩踏み出すだけでもいいのかもしれません。

いつもと少しだけ違って見える景色が、新たな道へと導いてくれることもある。

そんな可能性にも気づくことができました。


何気ない毎日を過ごしているときに、この香港での日々を懐かしく思い出している未来の自分をふと感じることがあります。

未来のわたしは、今のわたしを絶対にうらやましいなぁと思いながら見ているんです。

幼い子どもたちと一緒に過ごす香港での日々。

きっといつか、かけがえのない思い出になるんだろうなと思います。


最後になりましたが、コラム執筆という貴重な機会を与えてくださったスマイルママの釜井さん、関わってくださったスタッフの皆さん、そして読んでくださったすべての方々に感謝申し上げます。

どうもありがとうございました!

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◆蓮見紗穂(はすみ さほ)
埼玉県出身。
2010年生まれの娘と2012年生まれの息子の母。東京の出版社で編集者として勤務後、夫の転職に伴い、2015年2月から香港在住。現在は、2児のハハ兼フリーランスの編集者として地道に活動中。
https://www.facebook.com/saho.naito.94

 


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