コミュニケーションで大事なことって?|編集者ママのインターナショナル子育てin香港vol.3

2015.12.17

「編集者ママのインターナショナル子育てin香港」を担当する、蓮見紗穂と申します。夫の転職に伴い、2015年2月から一家で香港に住んでいます。このコラムでは、香港で子育てする中で発見した日本との違いや驚いたことなど、皆さんが読んで「へ~! そうなんだ」「なるほど!」と思えるようなことを書いていきたいと思っています。

◆過去記事はこちら◆
vol.1「仕事好きなわたしがなぜ香港に?」
vol.2「日本と香港、子育てしやすいのは?」

数カ国語が飛び交う公園

香港に渡ったものの、子どもたちを通わせようと思っていた幼稚園が定員いっぱいで入れず、来て早々待機児童になってしまいました。

日本で保育園にお世話になっていた身としては、子どもたちと24時間一緒というのは、新鮮でもあり、大変でもあり、退屈でもありました(笑)

船便の荷物が届いた後も、一日中家にいるわけにもいかず、結局公園に通い続ける日々が2カ月ほど続きました。

香港の公園は、カラフルで大きな遊具がたくさんあります。どの公園も地面が砂ではなく、クッション性のあるゴム製。汚れないように、けがをしないようにという配慮でしょうか。

香港の公園は、カラフルで大きな遊具がたくさんあります。どの公園も地面が砂ではなく、クッション性のあるゴム製。汚れないように、けがをしないようにという配慮でしょうか。

公園は、まさに国際都市・香港の縮図!

香港で主に使われている「広東語」はもちろん、日本人も多く住んでいるので「日本語」、韓国人も多いので「韓国語」もよく聞こえてきます。

香港は共働きの夫婦が多いにもかかわらず、日本の保育園のように長時間子どもを預かってくれる施設がないので、子育て世帯は住み込みのお手伝いさんを雇うのが一般的です。

そのため、お手伝いさんが子どもに話しかける「英語」、そしてお手伝いさんはフィリピンの方が多いので、お手伝いさん同士で話す「タガログ語」も聞こえてきます。

それから、ごくたまに「フランス語」なども。それはもう、さまざまな言語がひとつの公園内に飛び交っているのです。

言語がさまざまであれば、人種もさまざま。日本の公園にはない多様性に「これが国際都市というものか~」と目を見張りました。

公園で娘から教わったこと

香港の公園では、必ずといっていいほど誰かがシャボン玉で遊んでいます。シャボン玉の道具もバリエーション豊かで、自動でシャボン玉が出続ける機械もあります。

空中にふわふわと漂うシャボン玉を見ると、思わずパチンと割りたくなるというのは、人間の本能なのでしょうか。

うちの子たちもそうですが、香港の子どもたちも、シャボン玉を見るとその狩猟本能(?)にスイッチが入るようです。

つられて思わず電動のシャボン玉グッズを買ってしまいました(笑)

つられて思わず電動のシャボン玉グッズを買ってしまいました(笑)

まだ知り合いもいなかったので、公園でも姉弟ふたりで遊ぶしかありませんでした。

息子(当時2歳)は、それでも特に不満はなさそうでしたが、娘(当時4歳)は、さすがに同じくらいの年の子と遊びたい様子……。

それもあってか、娘は公園に行くと必ず「シャボン玉やりたい」と言いました。シャボン玉で遊んでいれば、お友だちが寄ってきて一緒に遊べる。そうわかっていたのでしょう。

シャボン玉だけでなく、ボールで遊んでいても、お友だちが寄ってきてくれました。「シャボン玉」と「ボール」は、広東語も英語もわからない娘にとって、いわばコミュニケーションツールだったのだと思います。

文化の差こそあれ、同じ人間同士、喜怒哀楽を感じるポイントは共通する部分が多いと感じます。

娘の場合、「うれしい」「楽しい」という気持ちを分かち合えるツールが「シャボン玉」であり、「ボール」だったのでしょう。

この2つの道具のおかげで、その場限りではありますが、現地の子とも遊べるようになりました。

娘には、「言葉を介さなくても同じ気持ちを共有することができる」「自分からそのきっかけを作ることが大事」ということを教わった気がします。

このときはボールでお友だちをふたりゲット! 3人でボールを回して静か~に遊んでいました(左にいるのが娘)。

このときはボールでお友だちをふたりゲット! 3人でボールを回して静か~に遊んでいました(左にいるのが娘)。

「誰かと関わりたい」という娘のピュアでまっすぐな気持ちに触れ、自分の中にも同じような気持ちがあることに気づきました。

ただ、わたしの場合は「言葉の問題もあるし、自分から声をかけるのは苦手だし……」という言い訳で、曇って見えにくくなっていたのです。

知り合いがいないという今までにない環境だからこそ、自分の中にある「誰かと関わりたい」という根源的な思いに気づけたような気もします。今思うと、ホームシックだったのかもしれませんね。

英語が通じるってありがたい!

香港は、長くイギリス領だったこともあり、おおむね英語が通じます。街中の表示も英語が併記されていますし、飲食店での注文も英語で問題ないというのは、広東語がまったくわからないわたしにとって救いでした。

スムーズとはいえなくても、なんとか意思の疎通はできる。それだけで、見える世界、感じられる世界がずいぶん違ってくるように思います。

「ああ、少しでも英語がわかってよかった」と思うと同時に、「日本に来た外国の方は、英語が通じなくて大変だろうな……」と思わずにはいられませんでした。

英語が少しわかるとはいえ、典型的な日本式英語教育しか受けていないわたしの英語は、いざ会話となるとかなり怪しいものでした。

質問するにしても、最初が「Do」なのか、「Does」なのか、「Is」なのか、「Are」なのかがパッと出てこない!「She」と「He」を言い間違える!(笑)そもそも英語を口にすること自体が恥ずかしく、口ごもってしまうのです。

和製英語のワナにもはまりました。

マクドナルドで「ポテト」を注文しようと、何度も「Potato!」と言っても通じず、英語では「French fries(フレンチフライ)」と言うと後から知って、恥ずかしい思いをしたことも。

店員さんにしてみたら、わたしは注文カウンターでひたすら「じゃがいも! じゃがいも!」と連呼する迷惑な客だったわけです(笑)

こちらのマクドナルドでは、ストローがセルフサービス。ちなみに、日本の「ハッピーセット」は「Happy meal(ハッピーミール)」です。お気をつけください(笑)

こちらのマクドナルドでは、ストローがセルフサービス。ちなみに、日本の「ハッピーセット」は「Happy meal(ハッピーミール)」です。お気をつけください(笑)

そんなこともあって、現在は英会話の学校に週2回通っています。英語を聞くことにはだいぶ慣れましたが、話すのはまだまだです。

子どもたちは、現在インターナショナルの幼稚園に通っていて、毎日英語に触れています。やっぱり子どもは吸収が早い!発音もいい!追い抜かれる日もそう遠くない気がして、内心ヒヤヒヤしています。

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◆蓮見紗穂(はすみ さほ)
埼玉県出身。
2010年生まれの娘と2012年生まれの息子の母。東京の出版社で編集者として勤務後、夫の転職に伴い、2015年2月から香港在住。現在は、2児のハハ兼フリーランスの編集者として地道に活動中。
https://www.facebook.com/saho.naito.94

 

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