見守り、我が子を信じることの大切さ|心と体の成長を促す運動遊びvol.6

2015.03.05

今日は、「見守り、我が子を信じることの大切さ」についてです。

 

これまで何度もこのコラムや,ラジオを通じてもお伝えしていましたが,

元気っず®クラブの内容は「遊び」です。

 

子どもたちが大好きなかけっこ。

僕が「みんなでリレーしよかー」と子どもたちに声をかけても,

みんながすぐに「するする~」と並ぶわけではありません。

中には草むらで虫取りをする子どももいるますし,

その場に座り込んで,地面に絵を描いている子どももいます。

 

そんなとき,よく大人が言うのは

「おいでよ,みんなやってるよ~」ではないでしょうか。

もしそれを言うとどうでしょう。

大勢がしているからと言って

その輪に無理やりに押し込めるのは,早急ではないでしょうか。

 

大人にもいろいろな趣味や嗜好があるように

子どもにもそれぞれに興味関心の対象が違い,今したいことの優先順位があるのです。

でも親としては,「みんなといっしょにかけっこをしてほしい」という願いがあります。

親の願いをどうすれば,押し付けないように伝え,導くのか・・・

とても考えどころですね。

 

僕はそんな場面では「かけっこ,したくなったら,おいでな~」と声をかけるだけにします。

じゃあ,声をかけるだけで,あとはその子をほったらかしにするとかというと,そうではありません。

かけっこをしている集団を見つつ,その子を見ているのです。

そして,目が合った時に「待ってるからね」と言うだけにとどめます。

目が合うということは,まだからだは向いていないものの,

気持ちは少しかけっこに興味を示しているサインだと判断するからです。

 

そして,しばらくすると,

「かけっこする~」とダッシュで走ってきて,輪に入ったのです。

さらに,その子は,ほかの誰よりも一生懸命に走り,

人数不足で誰かが2回走ることになったときに

真っ先に手を挙げて「僕走る!」と言ったのです。

先ほどまで,「かけっこなんて興味ないよ」オーラ満載の

同じ子どもとは思えない変身ぶりです(笑)

 

このように,無理に参加させようとせずに

その子が今したいこと(欲求)を認めて、

そしてあの子はしないからと放置するのではなく

たとえ距離があったとしても,常に声をかけ

見守ることに徹し,<待つ姿勢>を貫くと,

無理強いするような言葉がけしなくても

子どもは親の願いどおりの行動を起こすものなのです。

もちろん時間は多少かかるかもしれないけれど,一番の近道なのかもしれませんね。

 

さて,<待つ姿勢>

・・・待ってなんていられない!って思う方もおられるでしょう。

それでも,我が子のその時が来るまで待ちましょう。

なぜなら,待つということは,本当の意味での親しかできない

「我が子を信じる」ことなのですよ。

 

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村田トオル
大阪青山大学健康科学部子ども教育学科 准教授
・NPO法人日本健康運動指導士会兵庫県支部長
・第26期西宮市スポーツ推進審議委員
・日本体育協会スポーツ医科学専門委員会メンバー
・同志社大学健康体力科学センター嘱託研究員

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