運動欲求|心と体の成長を促す運動遊びvol.3

2015.01.16

【人気大学准教授による、子どもの心と体の成長を促す運動遊びコラム】を担当しています村田トオルです。

 

元気っずクラブを通して,時代へのチャレンジとも言える運動遊びの普及促進を大きな野望として掲げています!と前回までで書いてきましたが,そもそも「運動遊びの普及促進」とはなんでしょう?

これはわかりやすくお伝えするならば,『少し前なら当たり前にあった外遊びを復活させよう』ということなのです。

 

少し,周りを見渡してください。特にご自分の近所にある公園での子どもの様子を。

晴れた日であるにもかかわらず,ベンチに座り,カードゲームや携帯式ゲームをしている子どもたちをみかけませんか?もちろん,キャッチボールや鬼ごっこなど,活発に遊んでいる子どもたちも同じ公園内にいます。

 

子どもには「基本的欲求行動」という生まれながらにして誰もが持っている欲求があります。「睡眠」「食事」がその代表例ですが,もう一つ大事な欲求があります。それが「運動」つまり,からだを動かせることなんです。運動といってもなにか特定のスポーツをしたいということではなく,訳もなく動き回りたいということなのです。

 

一人歩きを始めたお子様の様子はどうでしょう。好奇心に満ち溢れ,「あ,見つけた~」と言わんばかりに,満面の笑みでその目標物によちよち歩きながらも一目散に歩いていきませんか?

2歳ごろになると,同年代の友達が数人集まればと自然と追いかけっこをしていませんか?パパが帰宅すると,廊下をタタターと走ってきて「お帰りー」と飛びついてきませんか?

 

まさに「運動欲求」がなせる仕草ですね。

「運動欲求」は小学生になっても,もちろんあります。少し前までは,その欲求を満たす時間が「放課後の外遊び」あり「道草」でした。

ところが最近では,塾や習い事に追われ「遊び時間」がなくなり,宅地開発や交通量の増加で「遊ぶ場所」がなくなり,少子化の影響で「いっしょに遊ぶ仲間」が少なくなり・・・つまり,運動欲求を満たす場面が極端に少なくなったのです。

 

さて,子どもにとって欲求が満たされないとどうなるのでしょう。親である皆さん方はどうですか?したいことができないとき,あるいは自分の思いと違うことをしているとき,ちょっとイライラしませんか。そしてそのちょっとが積み重なっていくとやがてどうなるのか・・・もうお分かりですよね。

 

親が幼児までのお子さんに,よく言う言葉として「じっとしてなさい」があります。

たとえば,交通量が多く,危険性がある場所,公共の場で,走り回ると迷惑になる場合。当然のことながら,TPOをわきまえてこの言葉を使うでしょう。ところがそういった心配がない場所でついついいつもの口癖でなんでもかんでも「じっとしてなさい」(しかも!マーク付で)。お子様のしたいことを止めていませんか?

すこしおおらかな気持ちでその行動を見守りませんか。したいことをしている顔は輝いています。その顔をしっかりと見てあげてくださいね。

 

最後にもう一度。「じっとしてなさい」を言う場合は,お子様の欲求とTPOをわきまえた使い方で賢~いママになってください。

 

次回では,主宰している元気っずクラブでの子どもたちのアッと驚く劇的な変化を書きますね。

 

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村田トオル
大阪青山大学健康科学部子ども教育学科 准教授
・NPO法人日本健康運動指導士会兵庫県支部長
・第26期西宮市スポーツ推進審議委員
・日本体育協会スポーツ医科学専門委員会メンバー
・同志社大学健康体力科学センター嘱託研究員

 

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