ラクガキ遊びが乳幼児の発達にとってどういう意味を持つのか|乳幼児の身体と感覚の発達を育むラクガキ遊びvol.3
こんにちは、コラム【乳幼児の身体と感覚の発達を促すラクガキ遊び】を担当します、和泉誠です。
私は先日、北イタリアにある小さな町レッジョ・エミリアで生まれた世界最高水準の教育実践と言われる取り組みを視察してきました。そこで今回は、日本の保育の現場との違いも踏まえながら、ラクガキ遊びが乳幼児の発達にとってどういう意味を持つのかを検証したいと思います。
まず驚くべきことにレッジョ・エミリア市の保育施設には必ずアトリエがあります。みんなが当たり前のように絵を描いたり粘土で何か作ったりすることがいつでも出来る環境が整えられています。
何のために?子どもたちをアーティストとして育てるために?
いいえ、そうではありません。子どもたちが健やかに育ち、豊かな感性を持ったまま成長していく上でアートと関わることが非常に重要だと考えられているからです。
↑イギリスの保育施設(ハンプティダンプティチャイルドケア)にも同じようにアトリエがありました。
子どもたちが自分で感じ、考え、表現すること。そして子どもたちの気付きや表現に耳を傾け共感してくれる大人がいること。
その重要性をしっかりと理解しているからこそ、アトリエが保育施設の中にあるということを感じました。日本ではアトリエのある保育施設はまだまだ少ないですよね。
子どもたちはそのアトリエの中で、誰かに教えられながら絵を描いたりするのではなく、自分で観察し発見した世界を表現したり、ただ筆やペンを走らせ、その痕跡から物語を紡ぎ出しどんどんとイメージを膨らませることも出来ます。
「ママ、あのね!」「パパ、聞いて!」「せんせい、これ見て!」
子どもたちは自分で発見したもの(探究心、そしてそれによって得た経験)を伝えたがります。
言葉でうまく伝えることができないことはどう伝えるのか?表情の変化やジェスチャー、そしてラクガキなどによる表現なのです。
子どもの行動(言葉だけでなく)を通じて大人がどのように解釈するか。どのように物事と出会うか、その中で身体と心がどう関係性を持つか。
子どもたちが発見した時に近くに居て、それ(興味)を深める為のサポートをするのが大人の責任。
子どもたちがどのようにしてモノを認識し確認してゆくか、そしてそれを大人がどのように取り上げ、サポートして行くか。これが教育として一番必要だと、子どもの教育に携わる全ての大人が思うべきことではないでしょうか?
楽しいこと、素晴らしいことに気付き、共に世界を発見するということ。
そのために、ラクガキ遊びは非常に重要で有効なコミュニケーションツールだと思います。
身体的な発達、感覚、感性の発達、そして精神性の発達など、様々な発達にとって必要な要素を持つラクガキ遊びをもっともっと取り入れ、日本でも子どもたちとアートがもっと身近な存在になっていくことを願います。
今回私が視察した施設
◆イタリア
【レッジョエミリア】
アルコバレーノ乳児保育所
ローリス・マラグッチ国際センター附属幼小学校
ブルーノ・ムナーリ幼児学校
◆イギリス
【トットネス】
ハンプティダンプティチャイルドケア
【ブリストル】
Nナーサリースクール
【ニュートンアボット】
ストーバースクール
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和泉 誠(いずみ まこと)
株式会社なーと 代表取締役
株式会社アトリエClover 代表取締役
こどもなーと代表
スーパーダディ協会 関西支部長
◆こどもなーとFBページ
https://www.facebook.com/codomonoart
◆スーパーダディ協会
https://www.facebook.com/SuperDaddyAssociation
スマイルママラジオ・ゲスト出演
『乳幼児の身体と感覚の発達を促すラクガキ遊び』