自立と自律②|心と体の成長を促す運動遊びvol.8
前回からこのコラムでお話ししている<自立と自律>
もう一度ここでおさらいしますね。
自立は,自分で物事を行うこと。
自律は,自分の立てた行動計画を,自分の力だけで行うこと。
いかがでしょう,最終的にお子様に求めるのは自律ではないでしょうか。
何度も言いますが,子どもが自律するには時間がかかり,
その過程も十人十色本当に様々です。
今回も元気っずクラブ小学生クラス(10回)での変化・・・特に明らかに,
「最初はやる気まったくなかったけど,やる気出てきたなー」
と思える子どもについて,その変化の過程を書いていきますね。
◇小学1年生Bちゃん
≪参加のはじめ≫
・友だちといっしょに参加していて,
その友だちが休むといっしょに休んでいました。
・始まる時刻より早く来るのですが,
とぼとぼと所在無げに歩いてくる姿が多く見られました。
・元気っずクラブでの,高さの低いハードルやコーンの間を
ジグザクに走るようなサーキットをする時,
「私できない!」としてもいないのにはじめから決めつけて,
尻込みする場面がありました。
・周りの子どもが満面の笑みを浮かべ,
歓声をあげて公園内を走っているのですが,
少し離れたところで,ぼんやり見ているだけのことが多かったです。
≪参加の中盤≫
・友だちが休んでも参加するようになってきました。
それにつれて,自然な笑顔で公園まで走って来る姿が見られました。
・かけっこリレーでは,人数の関係で2回走る子どもを決める場合があっても,
「私,2回走りたい」と同じチームの友だちに向けて,
自分の意見をはっきりと言う積極的な発言がありました。
≪参加の終盤≫
・早く来て,友だち数人と追いかけっこをする姿が見られはじめました。
・きらいで,いやいやしていたはずの高さの低いハードルを持ってきて,
自分でちょっとむずかしいようなコースを設定し,
僕がびっくりするくらい次々に軽々跳び越していくようになり,
「私すごく跳べるから見ててね」と言うようになりました。
前回ご紹介したAくんに続き,Bちゃんも行動がかわりましたね。
「とぼとぼ来る」や「できない」という
明らかなマイナスサインがいっぱい出ていたBちゃん。
最後には,きらいなハードルをわざわざ持ってきて,
自分でコースを設定するようにまでなりました。
子どもにとって,未経験や苦手意識があることに直面したとき,
どうしても尻込みしたり,その場からいなくなったりということがあります。
焦って無理強いすると,
ますますマイナスサインが多くなることが考えられますね。
親や大人が「ちょっとくらい時間かかってもいいよ」くらいの余裕で接すると,
こんなふうにプラスにかわるのですね。
ちなみにこの春から中学生になるBちゃんですが,陸上部に入るそうです(^^)
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村田トオル
・大阪青山大学健康科学部子ども教育学科 准教授
・NPO法人日本健康運動指導士会兵庫県支部長
・第26期西宮市スポーツ推進審議委員
・日本体育協会スポーツ医科学専門委員会メンバー
・同志社大学健康体力科学センター嘱託研究員