汗腺の発達について|子どもの育つ力を伸ばす口腔育成vol.6
こんにちは。歯科医師の小野大地です。
今回は、汗腺の発達についてお話ししたいと思います。
前回のコラムの中で食事における唾液の大切さをお話しさせていただきました。
では、どのようにしたら唾液が沢山出るようになるのでしょうか?
まず、唾液とは口腔内の唾液腺と呼ばれる部分から出ます。
その数は3歳くらいまでの間に一気に増加し、
大きくなってからは唾液腺の数自体は増えないとされています。
このようにある一定の時期から増えなくなってしまう事を臨界期と呼び、
これは汗をかくための汗腺にもあります。
これらの唾液腺と汗腺には相関関係があり、しっかり唾液の出ない子は
食が進まないだけでなく十分汗をかくことも出来なくないため、
体温調節が出来ず熱中症になってしまうリスクが増えます。
では、どのようにして鍛えていけば良いのでしょうか?
1番簡単なのは3歳までの間にしっかり汗をかいておくことです。
夏場は私たち大人が少し暑いな、と思う程度の気温が
成長の観点からみると一番適した温度かと思います。
現在の私たちの生活環境はより快適に、より便利になってきています。
部屋の中は心地よい温度で維持されており、
ちょっと出かける時でも車を使えば苦労せずに目的地まで着くことが出来ます。
このように快適・便利の反面、子ども達は成長するための機会を失ってしまっているとも言えます。
先程の汗腺の発達について少し詳しく説明していきます。
3歳までに数が決まってきてしまう汗腺ですが、生まれたばかりの子どもでは
体温調節能力自体が未熟であり、ある程度その力が発達してくるまでは
環境を子どもに合わせてあげなければなりません。
では、いつごろから自分自身で体温調節ができるようになるのでしょうか?
その時は歯を見てください。
乳歯は生えてきていますか?
乳歯が生えると言う事は、身体の発達段階として、
固形物を食べるだけの唾液の能力が獲得出来てきてきたと言う事であり、
それに伴い汗腺も発達しているという事になります。
つまり、乳歯が生え3回目の夏までは
特に意識して汗のかける環境を提供してあげる事が、
しっかり食べ、強い身体を作る上で大切になるのではないでしょうか。
次回も、「歯医者さんと一緒に考える、子どもの育つ力を伸ばす口腔育成」をお楽しみに。
==========
歯科医 小野 大地