欲求を認めること|心と体の成長を促す運動遊びvol.5

2015.02.18

今日は、「子どもの欲求を認めること」について。

 

唐突ですが,公園で開催していた元気っず®クラブは何人で運営していたのでしょう?

答えは・・・一人です(つまり僕だけ)

「え,たった一人でしてたんですか??もっとスタッフがいるかと思ってました!」と講演やセミナーでお話すると,かならずびっくりされます。

それもそのはず,あの広い公園,しかも最大20人を超える参加者があったのですから。

 

そのうえ,僕が「今日何しよう~?」と声をかけるところから始まるのですから,

子どもたちは「かくれんぼがいい」「鬼ごっこがいい」と好き勝手なことを次々にリクエストしてきます。

中には「何もしたくなーい」という子もいますが(笑)

 

さて,コラムをお読みのみなさんからは

「今日何しよう?」と聞いているって、なんて無責任な指導なの!

とお叱りを受けるかもしれませんが,実は頭の中には「僕なりの順番」があるのです。

その順番と子どもたちがしたい順番が一致すれば,問題ないのですが,合わなかった場合どうしたらいいのでしょうか?

複数のスタッフがいれば,同時進行ですることも可能ですが,運営は僕一人です。

その事例をご紹介しましょう。

 

元気っずクラブ®で使う,長さ10メートル,直径1センチのロープは子ども達にとても人気があります。

「引っぱる」「引きずる」「振り回す」「ぐるぐる巻きにする」など普段はできない,いろいろな遊び方ができるからです。

 

ある日のこと,みんなで話し合って,綱引きをすることになりました。

ところが,Yくんが「僕ぐるぐる回したいねん」と言い張って,ロープを独り占めしてしまい少し困った状況になりました。

僕は「Yくん,3回ロープ回したら綱引きしよかー?」と『提案』しました。

そうすると,「うん,そうする!」と言って,3回ロープ回したあとには,ちゃーんとみんなと一緒に綱引きをしたのです。

 

3回ロープを回す時間はわずか10秒ほど。

これが5分も10分もかかるなら進行に支障をきたしますが,Yくんにとっては,自分が今したいことができて,なおかつ自分で行動を決定した瞬間とも言えますね。

そして,「今したいことができたという欲求」が満たされ,みんなの輪に入りました。

 

学校から帰宅して,遊びに行こうとするお子さんに

「宿題してから遊びなさい」と言ってしまうと,どうでしょうか?

勉強机には向かうものの,からだは玄関の方へ向いてませんか?

宿題のノート,プリントの字は乱暴で書きなぐった感じではありませんか?

そうすると,宿題の確認をした親御さんの眉間にしわが寄り

「何!この乱暴な字は!!やり直しなさい!!!」とつい,怒鳴ってしまうのでは・・・

 

怒鳴らない親になるために,先にお子さんのしたいこと,つまり欲求を認めて,満たしてあげませんか?

欲求が満たされると,気持ちが安定し,聞き分けがよくなりますよ(^^)

 

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村田トオル
大阪青山大学健康科学部子ども教育学科 准教授
・NPO法人日本健康運動指導士会兵庫県支部長
・第26期西宮市スポーツ推進審議委員
・日本体育協会スポーツ医科学専門委員会メンバー
・同志社大学健康体力科学センター嘱託研究員

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