口腔への意識と日本の歯科医療②|子どもの育つ力を伸ばす口腔育成vol.11

2015.07.23

こんにちは。歯科医師の小野大地です。

 

今日は、前回と同様「口腔への意識と日本の歯科医療」

について、ひきつづきお話していきたいと思います。

 

普段食事をしながら意識することはあまりないかと思いますが、

私たちはしっかり噛んで食べる事により、

単に栄養を摂取するだけではなく、

脳をはじめとした様々な器官に刺激を与えることで

健康を保つことができます。

特に幼少期では、噛む力を顎に伝え、その力を利用して

顎を鍛える事が発育においても重要になります。

 

そのため、子どもの頃から噛んだ力が顎へ伝えやすい構造、

つまり成長しやすい身体作りが重要になってきます。

 

歯並びと顎骨の関係ですが、

実は歯並びの悪くなる原因のほとんどが顎骨の成長不足です。

また、顎骨の成長できない要因の一つは歯並びでもあります。

できる事なら、自然な良い歯並びでいたいと思いませんか?

そのためには歯並びが悪くなる前に、

歯並びが悪くならないような環境を

整えてあげること事を考えてみましょう。

 

歯のもとである歯胚は生まれる前からできており、

乳歯から全ての永久歯に生え変わります。

その成長の歴史が歯並びとなって表れてきます。

 

例えば、下の唇を噛む癖がある子の場合、

唇の外側で上の前歯を前方に押し出し、

唇の内側で下の歯を押し返します。

このような弱い力でも十分歯に影響を及ぼすため、

大人になるころには

出っ歯に張っている可能性が高くなります。

 

つまり、子どもの時期に

いかに成長を促進させる因子を与え、

成長を妨げる因子を排除させてあげるかによって、

今後の成長様式が変ってきます。

 

また、顎の骨が成長する為には

栄養やホルモン、様々な刺激が必要であり、

これらは全身の成長に必要なものと共通していることから、

健康な身体を作ることがよい歯並びを作る事でもあります。

 

大人の身体は、悪いところがあると

それを補うように別の場所で調節していきますが、

子どもの場合はそれに合わせるように

身体の構造自体が変化していくので、

注意してみていく必要があります。

 

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歯科医  小野 大地

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