子どもの筆圧低下と外遊びの減少|心と体の成長を促す運動遊びvol.13

2015.09.03

「健康と子育ての関係」は今回お休みさせていただき,

先日,関西テレビの「ゆうがたLIVEワンダー」に

出演したときの内容を書かせていただきますね。

 

取材されたテーマは「子どもの筆圧低下と外遊びの減少」

なんのつながりもないような2つですが,

実は密接な関連があるんです。

 

 

まず,子どもにとっての筆圧とは『鉛筆を握る力』を指します

ギュッと思い切り握る力とは違い,加減が求められますね。

鉛筆を思い切り握ってしまったら,どうなるでしょう?

鉛筆自体は折れないと思いますが,芯が折れますよね。

 

今,現実に起こっている問題に

「力加減がわからず芯を折ってしまう子ども」

が増えてきたことなんです。

ですので,小学校では少し前ならHBが主流だったのが,

2Bが主流となってきています。

つまり,弱い力でも字が書けるような配慮になりました。

 

さて,先に述べた「加減」という言葉について

すこし考えてみましょう。

この意味は「ほどよく調節すること」です。

ほどよくとは,その状況に合った

ちょうどいいことを意味します。

結論から先に言いますと,

このちょうどいい状態を自分のものにするには

「経験」が必要不可欠なのです。

 

お料理を例にとってみましょう。

何かの味付けをするとき,好みの味になるまで

調味料を微妙な「さじ加減」で調節しますよね。

その時に1回で好みの味になりますか?

なるときもありますが,多くの場合

何度も何度も同じことを繰り返して

やがて好みの味付けができるのではないでしょうか。

同じように「焼き加減」「湯加減」「手加減」

などもそうですね。

このように考えると加減を会得するには

何度も繰り返すこと,すなわち経験が必要ということが

おわかりいただけるかと思います。

 

 

さて,次は加減と外遊びについてですね。

ブランコに乗るとき,はじめはスピードが遅いので

くさりをそんなに力を入れずに握っています。

ところが慣れるにしたがってスピードがつき

振り落とされないように,力を入れますよね。

力加減です。

雲梯にぶら下がり,向こう側まで行くとき,

すばやく放して,前方の棒に力を込めて

ギュッと握りますよね。

力加減です。

 

例にあげた2つの外遊びに共通するのは

「力加減」なのです。

その遊びを楽しむために,

子どもは自然と力加減を学んでいます。

その成果は遊びの場面だけではありません。

机に向かって,鉛筆を持つときにも成果は表れます。

何しろ「経験を積んでいる」のですから。

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たかが外遊び,されど外遊び。

軽視しがちな子どもの自然な活動を

もう一度,大人が見直しませんか?

 

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村田トオル
大阪青山大学健康科学部子ども教育学科 准教授
・NPO法人日本健康運動指導士会兵庫県支部長
・第26期西宮市スポーツ推進審議委員
・日本体育協会スポーツ医科学専門委員会メンバー
・同志社大学健康体力科学センター嘱託研究員

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